お香典Q&Aと雑学 | 香典の相場とマナー大事典【失敗しない書き方・宗教別マナー有り】

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今も残る「新生活運動」と香典

「新生活運動」という言葉は一部の地域、年代の方を除いては、もう殆ど馴染みのないものになってしまっている事でしょう。
初めて聞いたという人も多いと思います。

終戦直後は日本全体が同じように貧しく、日常の暮らしをまかなうのも大変な時代がしばらく続きました。
しかし、冠婚葬祭の時はご近所付き合いの事もあって避けられないし、負担が特に重く感じられるのは現代も同じです。

「新生活運動」が日本各地で広まっていったのはそんな時代背景があったと思われます。

新生活運動の内容を具体的に挙げると「結婚式は公共の施設で」「香典は少額で、香典返しはしない」「生け花・盛篭は二対まで」などと申し合わせていました。
今で言う「虚礼廃止」を生活全般にわたって徹底しようという運動だったわけです。

しかし、その後の高度経済成長の中で結局は全国的には「新生活運動」は殆ど消え去ってしまいました。

ただ現代でも、北関東地域などで自治体が先頭に立って「新生活運動」の精神を引き継いでいる地域もあります。

例えばそういう地域の葬儀場では受付に「運動の趣旨に賛同し、香典返しは辞退します]]と書かれたラベルが置いてあり、香典袋にそのラベルを貼って受付に差し出すようになっています。

新生活運動を過去の遺物と決めつけるのは簡単ですが、忘れてならないのは、その精神を受け継ぐ地域が現代でもあって、その地域の人たちにとって香典とは1000円、2000円のものであり、お返しなどは考えた事もないという事実です。

結婚や引っ越しによって風習の違う地域で苦労するのはいつでもある事ですが、「香典返しは半返しが“普通”でしょう?」と思い込んでいる方、それは決して“普通”ではないということを頭の隅にとどめておく必要があるのではないでしょうか。

仏様の初めての里帰り・初盆と香典

仏教と一口に言っても宗派がたくさんあり、その宗派を創立した僧侶によって仏典の解釈が違い、さらに地域によりその地に古くから伝わる習俗との融合がすすんで、現代に至っているわけですから、仏教にまつわる行事が日本全国どこでも同じという事はあり得ません。

その違いが一番際立っているのがお盆でしょう。
一つ挙げれば、まずお盆の時期が関東と関西では違っています。

またお盆には祖先の霊が帰って来るといいますが、一部の宗派では人には霊魂は無いという教えなので、その宗派ではお盆そのものが無いわけです。

とはいっても一般的にはお盆のご先祖様迎えはすっかり定着していて、夏の風物詩になっています。

お盆の中でも家族が亡くなって最初に迎えるお盆の事を、特に新盆または初盆といい、ひときわ盛大に供養するようです。

精霊棚をしつらえ、故人の好物をお供えし、親族もそろって僧侶に盆経を上げてもらいます。
お経がすめば、おもてなしをしてお布施を渡します。
金額の相場は三万円から五万円です。

四十九日の忌み明け日がお盆を過ぎる場合は、死者がまだ成仏していないという事ですから、翌年が新盆になります。

お香典の水引は黒白・黒白銀・黄白のいずれかで5本または7本、双銀であれば7本か10本で、むすび切りかアワビ結びにします。
表書きは「御佛前」「御仏前」「御供物料」となります。

のし袋の水引は藍銀で無地のもの、あるいは黄銀で5本か7本で、やはりむすび切りかアワビ結びにします。
表書きは「御佛前」「御仏前」「御供物料」、あるいは「御供」「御供物」となります。

この場合一般的にお返しは不要ですが、地域により違うので確認が必要です。

またご近所からお供物をいただいたら、「志」と表書きをした引き物をお返しします。
引き物はタオル、ハンカチ、お茶がよく使われていましたが、最近は自由に選べます。

固い頭で香典の話をするな?

風習、習わしというものは地域によって違うとは誰もが分かっているはずですが、そういうことは実際に体験しないと、理解出来ないのではないでしょうか。

同じ地域で長年住んでいると、普段見聞きする事がややもすると、日本全国どこでも同じように行なわれているように思い込んでしまいがちです。

葬儀という風習も、仏式の葬式の期限は室町時代、540年前にもなるくらい古くから続いている行事ですから、葬儀に関係する色々な行事について、他府県の人と話をしても通じるものと思ってしまいます。

しかし、決してそんな事はありません。
例えば日本の夏の代表的な行事であるお盆一つとっても、まず関西と関東とではお盆の時期が一ヶ月ずれています。

また、お盆のときはご先祖様の霊が我が家に帰ってくるので、家を間違えないように迎え火をたくといいます。
ところが、浄土真宗では人には霊魂はないとの教えで、真宗のお寺ではお盆といっても特別な事はしません。

また斎場という言葉も要注意です。
関西地区で斎場というと、火葬場のことを指すと認識している人が多いのですが、現に京都市などは条例でそう定めています。
所が関東方面では通夜・告別式を行なう会場の事を斎場と表現しているのです。

葬儀関連で一番話題に上る香典にしても事情は全く同じです。

終戦直後に全国的に広まった「新生活運動」では虚礼廃止を訴えて、香典などは一律500円、お返しは無しなどの取り決めをしていたのですが、金額はともかくその精神を引き継ぐ自治体が、今でも北関東地域にはあります。
その地域では「香典返しは半返し」は“普通”ではないのです。

結局こと葬儀にだけ限っても、私たちの持っている「常識」はいかに頼りないものか、誰と話しても必ずしも同じ価値観で話しているわけではないということを、頭の中のどこかで持っていないと、思わぬ無用の摩擦を生じる事になるということではないでしょうか。

香典の額の違いから見えて来る地域の違い

仏教の行事はもちろんその教えに基づいて行なわれるものなのですが、仏典の解釈の違いや地域に古くから伝わる習わしの違いにより、日本全体で見るとずいぶん違いがあります。

葬儀にかかせない香典についてはどうでしょうか。

たとえば親が亡くなった時の香典は、東京・北関東・中部地方は10万円ですが、北海道、東北は5万円、近畿や中国地方は7万円を包みます。
これが祖父母の場合、東京では2万円で親の時の1/5ですが、中国地方は6万円と、親の場合とほぼ同額になっています。

ご近所から出た葬儀の場合どうかというと、多い順に北関東の7,000円、近畿地方の6,000円、東京・南関東の5,000円、北海道の3,000円となります。

仕事の取引先関係の葬儀の香典では最高が四国地方の15,000円ですが、これが勤め先の同僚や上司・部下などへの香典になると半額の7,000円になります。

南関東ではそれが逆転して、自分の勤め先では15,000円、取引先への香典は7000円になります。

こうやってみると、自分の会社から出す葬儀で一万円をオーバーするのは南関東だけで、他の地方はすべて一万円未満ということになります。

あと、特に目を引いて面白いデータとしては、東京在住の人が友人とその家族に対して出す香典の額が9,000円で、どこが面白いのかというと、他の地方との開きが2,000円以上あるのです。
東京の人は情が薄いなどといわれますが、このデータを見ると決してそんな事は無いというのは意外な事でした。

一方、葬儀の際の香典受け取りを辞退する人が増えているのが、関西を中心とする地域です。
香典返しの負担を避ける意図があるのかもしれませんが、親族からの香典は受け取るようです。

余談ですが、そういう時は直接喪主に渡した方がいいでしょうね。

香典を連名で出すとき悩みませんか?

葬儀があって香典を包む時、故人との関係によって何人かでまとめて包もうかという場合があります。

同好会の中の一人が亡くなった時とか、職場の同僚が亡くなった時とかですね。
そんなとき香典袋を作る人は、表書きはどう書いたらいいのか、一人一人の金額を全部書くのかとか結構悩むのではないでしょうか。

まず、香典袋の表に連名で書き出す場合は、右側から年長者などの目上の人、あるいは代表格の人から書き出します。
メンバーに特に上下関係が無ければ五十音順でも結構です。

でも、人数が多いと袋の表に書ききれませんね。
その時は袋の中央に代表者の名前を書いて、左側にやや小さく『他一同』と書くか、あるいは単に『○○一同』と書きます。

いずれの場合も別の紙に全員の住所、氏名、金額を書いて、中袋にお金と共に同封します。
別紙に全員の名前を書く時にも、やはり右側から年長者あるいは代表者から書き出します。

その時一人ずつの住所、氏名、金額をすべて書くのは細かすぎる気がするかもしれませんが、これは遺族が後日住所リストを作ったり、香典返しをする際大変助かる事になります。

ただ、連名で出すとき香典返しを断るつもりであるなら、その旨をはっきりと書き添えておきましょう。

また、夫婦で弔問する場合、主人だけの名前にするか連名にするかで悩んだりしますが、二人とも故人と付き合いがあったのなら、連名で書くのが一般的でしょう。

なお、いただいた香典で連名が多いと、後日の処理に手間取るものです。
出来れば香典は、一人ずつの方が遺族側は助かるものだという事を気に留めておきましょう。

香典をめぐるトラブルの数々

新聞記事でたまに香典泥棒の話題が載る事があります。

人の弔事につけ込む許せない犯行ですが、香典という現金が何十人分、場合によっては何百人分と集まるのですから、悲しみに浸っている遺族以外の誰かが、責任を持って事に当たらなければなりません。

葬儀会場というのは、必ずしもすべての人が互いに顔見知りというわけではないだけに、なおさらです。

香典泥棒だけではなく、香典にまつわるトラブルにはどんなことがあるでしょうか。

香典泥棒は普通、喪服に数珠というありふれた服装で葬儀会場にもぐり込み、何とか隙をついて香典を持ち去ろうとします。

手口としては、葬儀が終わる頃「ご遺族が探していた」など、とにかく受付の人を遠ざけた隙に香典を持ち去るというパターンが多いようです。

大きな会社の社葬などでは地域の葬儀と違って、社員同士が顔見知りでない方が多いのと、集まる香典の額が多いだけに特に注意が必要です。
あわせて、祭壇に香典を供える時は、お金の入った中袋を抜いておくといった対策も考えねばなりません。

別のトラブルとして、香典帳に記録した金額と現金が合わないというケースも耳にします。

これは金額の記録忘れや最初からお金を入れ忘れているといった事が原因のようです。
対策としては、取り出した現金の確認と記録は、必ず二人以上で行なうよう徹底し、万一異常があれば、その場で記録にとどめるようにします。

また、香典の額についての会話が参列者に漏れて、トラブルになったりします。
余計な会話をしたり、香典帳を覗かれたりしないよう、注意しましょう。